けーすけさんと赤城でお話する・1回目(7巻)
7巻です。
しょっぱなから夜の赤城でのランデブー(ひゅーひゅー)。
賢ちゃんが先行し、その後ろをけーすけさんが走っています。
それを見たレッドサンズのモブが言います。
「速いと思ったらけーすけさんのFDとケンタのS14だ」
「あいつ、けーすけさんに目をかけられていつもマンツーマンでしごかれてるからなー」
そう、賢ちゃんはけーすけさんに「目をかけられていていつもマンツーマンでしごかれて」いるのです。
けーすけ、キャラ的にはアニキと違って後ろを育てようという気はまったくないようにみえるのですが、なぜか賢ちゃんに目をかけていつもマンツーマンでしごいているようです。(元ヤンだしかわいい舎弟みたいなものなんですかね?)
ここで、賢ちゃんがけーすけさんだいすき!!でくっついて離れない理由のひとつとして、だいすきなけーすけさんからそれなりのレスポンス(賢ちゃんに目をかけていつもマンツーマンでしごいている)があるから、ということがお分かりになりますね。
だいすきな人から目をかけられいつもマンツーマンでしごかれたら、もっともっとだいすきになりますよね!
この「けーすけさんが賢ちゃんに目にかけていつもマンツーマンでしごいているという事実」は、賢ちゃんがただけーすけさんを一方的に慕っている、というわけではないことを示す重要なエビデンスなのではないかなと思います(いつかはふたりが結婚することを証明しないといけないのでね私は!)。
ようは、けーすけさんから賢ちゃんへの好意がはっきりと表れているわけですね。
ですが、けーすけさんがなぜ賢太なんか(by赤城のモブ)を目にかけるのか、作中で理由は明らかにはされていません。
けーすけさんの琴線にふれる「特別なもの」を賢ちゃんが持っていたのか、はたまたけーすけさんの気まぐれなのか。
で、走り終わって、一服するふたり。
文字どおりふたりとも喫煙しております。
「けーすけさん、ひとつ聞いてもいいですか?」と賢ちゃんが切り出します。
このあたりはまだ殊勝ですね、後半の賢ちゃんならこんなお行儀のいい聞き方はしませんからね。
「なんで秋名のハチロクをほっとくんですか?おれにはわかんないですよ、涼介さんもけーすけさんもなんで平気なのか…けーすけさんたちがやらないならおれにやらせてください!」と、赤城でのリターンマッチをせがみます。
「やめとけ…ケンタ」
「なんでですか、おれが負けるとでも思ってるんですか?」←そうだよ
「そーゆー問題じゃない」
いやあこのくちごたえ、生意気でとってもかわいいですね。賢ちゃんはバカなので、はっきりと「おめーじゃ無理だバカ」と言ってあげるのがやさしさだと思うのですが、けーすけさんはそこを濁して、「あえて不利な相手の地元でやるのがおれたちの流儀だぜ」などと賢ちゃんを説得します。
「そ…それは…そうだけど……けーすけさん…」←めちゃくちゃかわいい
「おれはガマンできないっすよ…世間では高橋兄弟が負けたってことになっちまってるんですよ」
うーん、よく見るとここちょっと泣いてますよね。ほんとけーすけさんのことになるとすぐ泣くんだからこの子。
私が賢ちゃんにここまでオトされたのはこういう類の「けーすけさんのことを想って流す涙」がきっかけなんですけど(ずいぶん先の話になりますが、いずれ語ります)、賢ちゃんの涙についてはアニメのほうがおすすめです。とにかく美しい、その一言に限るね。愛だよ、愛。
赤城でずっとふたりの走りを見ている賢ちゃんにとって、高橋兄弟はまだ藤原さんに「負けて」いないのですね。でも、
「事実だろ、負けは負けだ。おまえがくやしがってもしょーがねえ」
と、清々しい微笑みを浮かべて、けーすけさんはいいます。
これは負けても清々しくなる藤原マジックにかかってしまった者の末路なのかもしれませんが、「けーすけさんにおこったできごとについて、賢ちゃんが感情をあらわにして、けーすけさんが冷静に嗜める」という構図、これからもよく出てきます。
けーすけさんは熱くなりやすい一本気な性格で、初期のころは感情をもろにあらわにするタイプだったのですが、物語が進むにつれて大人びた反応をするようになっていきます。
そんななか、賢ちゃんはすなおにプンスカ怒ったり、キャッキャよろこんだり、ぽろぽろ泣いたりする。
まあアレですよ、私が思うけーすけさんが賢ちゃんとの結婚を決めたポイントのひとつが、「自分のことについて『あたりまえで平凡な感性』をあらわにしてくれる弟分が、いつのまにか安心できるかけがえのない存在になっていた」ということだと思うんですよね、ハイ。
そんな余裕綽々なけーすけさんに対し、賢ちゃんは…。
はい、そうです。お気づきのとおり、賢ちゃんが藤原さんとのリターンマッチにこだわるのは、けーすけさんと涼介の敗北について、世間が噂するのがどうしても耐えられないからなのですね。
ようは、けーすけさんの愛弟子である自分が藤原さんに勝てば、高橋兄弟の名誉挽回できるはずだと思っているのです。
それは、地元でやるという禁忌を犯してまでもしなければならないことなのです。
まあ正直発想はとても稚拙ですが、彼の突拍子のない言動の発端が「けーすけさんたちのため」というのがいかにも賢ちゃんらしくていいですね。
しかしこの「すげー かっこいい ホレボレする」って台詞、もう身も蓋もないですが、基本賢ちゃんがけーすけさんに対して思っていることって①すげー ②かっこいい ③ホレボレする、の3つに全て凝縮されてるんで、覚えておくと便利です(?)
あと、涼介へのあこがれについてもここで言及してますね。
賢ちゃんは「あこがれ」という表現を使っていますが、憧れというのは本来「その人みたいになりたい」という気持ちも含まれているものかと思います。
でも賢ちゃんは「ふたりのようになりたい」と思っている節があんまりない気がしています。
本当すがすがしいまでに劣等感とは無縁で、自己肯定がきちんとできている子なのでね。まあふたりのようなレベルの高いドライバーになりたい、という意味で使っているのかもしれません。
今回はここまで。